人間ドックの費用は会社の経費で落とせる?

社員の健康管理や福祉のために人間ドックを受けた際、その費用は会社の経費にできるの?

これ、できる場合とできない場合があります。

経費、つまりは福利厚生費として認められるためには、以下の要件があります。

1.全従業員が対象であること

特定の人、例えば「一部の役員だけが対象」というのはNG。「社長だけ」とか「親族だけ」みたいなのはアウトです。全ての社員が対象でないといけません。役員・使用人を問わず、全社員が公平に対象であることがポイントです。

公平と言っても、「30歳以上限定」や「2年に1回だけ」のような縛りはセーフです。(この場合は、その旨の社内規定を作成しておき、制限を客観的に説明できるようにしておくとよいです。)

個人事業主だけ、法人役員しかいない場合はNG

なお、個人事業主で自分しかいない場合や、法人だけど役員しかいない場合(例:社長夫婦が役員としているだけで他の従業員はゼロ)などは、一般的には福利厚生費としては認められません。(=経費にできません。)

但し、可能性がないわけではなく、従業員がいた場合の社内規定が作ってあって、それに準じてやっているとなった場合は経費にできることがあります。ただ、一般的な事例からは外れるので、税務署もすんなりとは認めてくれない可能性が大。客観的に説明できるだけのちゃんとした社内規定作りが必要です。

2.通常、必要であると認められる常識の範囲内であること

人間ドックは、一般的には1~2日間程度で行われます。これに準じたものであれば、経費として認められます。

しかし、一般的なものに比べて著しく高額なものだった場合は、対象外になることがあります。

常識の範囲内で、一般的なものに対してなら福利厚生費でいいよ、ということです。

3.人間ドックの費用を会社が直接診療機関に支払っていること

個人で人間ドックを受け、個人が支払い、後で会社が精算したような場合は、給与課税されることがあります。

会社が直接、診療機関に払うようにしましょう。

 

これらの要件を満たせば、会社の福利厚生費として損金にすることができます。今回は人間ドックを取り上げていますが、一般的な健康診断の場合も同様です。

特定の人だけに受けさせた場合の取り扱い

「役員だけ」に人間ドックを受けさせた場合、その費用は役員に対する報酬とみなされてしまいます。そうなると、会社の経費にならないばかりか、役員にとっては所得税の対象となってしまいます。

人間ドックの費用負担は、人数が増えるとかなりの額になってしまいます。なので、社員全員に対して受けさせるのが難しいケースもあるかと思います。

役員だけに受けさせたい、特定の人間にだけ受けさせたいといった場合は、どのみち会社の経費にできないのですから、会社で費用を負担するのではなく、予め役員報酬を増やしておいて個人で負担してもらう方がよいでしょう。

関連記事

特集

  1. クラウド会計ソフトの選び方~おすすめランキング~

    確定申告の必須アイテムとも言えるべき会計ソフト。数年前までは弥生会計などのソフトを買ってきてPCにイ…
ページ上部へ戻る